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元気埼玉 > マネー > エコノミスト・金子豊治郎が語る「景気・株価の見方」 > バックナンバー
マネー
金子豊治郎の「景気と株価の見方」(2007年10月23日) 

<ポイント>

  • 景気は2007年前半は「踊り場」局面にあったが、秋口から反転、上昇に向かいつつある。
  • 7月下旬から海外要因で下落した平均株価は、今後は上昇軌道に戻り、年度内に
    日経平均20,000円をうかがう。
    (前回9月と基本判断は変えていない)

1足元の景気−再上昇へ

(1) 年後半から指標改善
景気は、政府の公式判断としては、2002年1月を底とする、戦後最長の上
昇局面にあるわけだが、短期的には07年に入り足踏み状態に陥った。景気を最も素直に示す統計である鉱工業生産指数を見ると、06年は4.8%増加したが、07年になり鈍化、6月は前年同月比1.1%増となった。設備投資の先行指標である機械受注は同月に同▲17.9%と大幅減少、景気後退色が強まったが、その後マイナス幅が縮小している。
景気の局面を判断するのに使われる指標に、景気動向指数(DI)がある。景気と関連が強い11の指標を集め、そのうち改善しているものの比率を示した総合的指標であり、過半数が改善していれば景気は上昇していると見る。政府(内閣府)が毎月作成している。このDI一致指数は1月から3月まで50%を割ったが、4月から8月まで連続して50%を超した。
 実体景気は一時の足踏みを脱し、再び上向きつつあるとみられる。

(2)アジア主導で輸出も持ち直す
米国経済は、低所得者向け住宅ローン(サブプライム)の焦げ付きをめぐる信用不安もあり、減速している。日本からの米国向け輸出も減少に向かっている。しかし、米国経済の世界に占める地位がかつてに比べ大幅に低下している。世界経済は、過去最高の年率5%程度の成長を維持しているとみられ、米国が多少落ち込んでも日本経済が実体面で大きなマイナスをこうむることはない。
日本の輸出は数量ベースでみて、今年前半は落ち込んだが、後半になり再び勢いを増している。主導しているのは、アジア向け、欧州向けだ。輸出の回復が、景気を支えている一つの要素だ。

(3)設備投資も息吹き返す
 内需を見ても、家計部門は雇用者所得の減少もあり依然低迷基調ながら、足元で自動車販売、家電販売などに反転の動きがある。設備投資も、建設投資の先行指標である建設着工床面積は、建築基準法改正の影響もあり大幅に減少しているが、機械受注は下げ止まりつつある。
企業収益がなお好調で(4-6月の全産業経常利益は12.0%増の2桁増益)、
景況感も強いことから、設備投資は今後再び息を吹き返す可能性が高いとみられる。

2.今後の展望−景気は再び上昇軌道へ
  今後を考えるのに、一つかぎとなるのは輸出がどうなるか。すでに見たように、輸出は足元で再び増勢を強めつつある。輸出が急減して景気の足を引っ張る事態は当面は避けられそうだ。
  しかし、日本経済の方向を決定するのはやはり国内の需要(内需)である。
筆者は、内需の変動は銀行による信用供与(貸し出しなど)、マネーサプライの
供給に左右されるという考え方から、独自の景気予測法を開発している。
8月までの統計を用いて試算したところによると、景気には、すでに昨年末から上向きのエネルギーが働いており、その力はそれほど強いものではないが、徐々に拡大してきている。今年後半から景気が足踏みから脱したのも、輸出の増加に、マネーサプライ要因が加わったものとみられる。筆者の開発した指標は8月までは上昇しており、来年前半までは景気には上昇モメンタムが働く。
ただ、現段階で入手可能な材料から判断して、景気が上昇に向かっても
そのテンポは非常に緩やかになる、あるいは一進一退の展開になる可能性が大きいとみられる。

3.今後の株価−足元から上昇に向かう可能性
以上のように実体景気が推移すると、株価はどうなるだろうか。
日経平均株価でみて、今年2月には、1万8,000円台(高値は2月26日の
18,300円)を記録したが、2月末、中国上海市場の下げをきっかけに急落。その後戻して6月初旬に18,000円台を回復したが、年初来高値は超えられず、下旬から米国サブプライムローン問題から下げに転じ、10月下旬現在で1万6000円台にある。
株価の変動要因には様々あり、特に今回のような海外要因は予測が難しいが、
株価は平均株価で見れば、経済指標の一つであり、通常、実体景気に対して先行しながら連動するパターンをとる。筆者は、実体景気の変動にマネーサプライ要因が働くと考えているが、株価に対しては実体景気より早いタイミングでマネー要因が効く。そのため、マネー要因はすでに株価押し上げに作用しているはずである。
平均株価は現状、やや長めのスパンでみれば、膠着状態を脱け出し、上昇軌道に移りつつある段階とみる。米国住宅金融問題による下げは一時的現象とみたい。足元で足踏み状態にあるが、今後はトレンドとしては上昇に向かう可能性が高いとみている。あえて株価レベルを試算すれば、日経平均株価は緩やかに上昇、年末に1万9,000円、年度末に2万円をうかがう展開が予想される。
(以上は、筆者の個人的見解です。また経済には必ず不確定要素が伴い、予測の部分は、当然のことながら100%保証できるものではありません。投資は各自の判断でお願いいたします)。

金子 豊治郎 
1950年 埼玉県生まれ
74年 一橋大学経済学部卒業、日本経済新聞社入社。
91年 日本経済研究センター出向、短期予測チーム、中期予測チーム主査
2000年より2006年8月まで 同主任研究員。
現在 東上沿線新聞代表
2001年より2005年東京工業大学客員教授(経済予測論)
2004年より明星大学非常勤講師(景気変動論)を兼務。

著書
 『揺るぎなき日本経済』(共著、日本経済新聞社、92年)
 『日本経済フエアプレー宣言』(共著、日本経済新聞社、93年)
 『日本経済・穏やかなる復活』(日本経済新聞社、94年)
 『社会保障改革の経済学』(共著、東洋経済新報社、03年)
 『新景気変動論』(大学教育出版、05年)など。

「東上沿線物語」(東上沿線新聞発行) http://www.tojoshinbun.com/
景気・株価予測の詳細 http://homepage3.nifty.com/yosoku/

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