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元気埼玉 > マネー > エコノミスト・金子豊治郎が語る「景気・株価の見方」 > バックナンバー
マネー
景気と株価の見方(2007年5月) 

<ポイント>

  1. 景気は2007年1月以降緩やかな後退局面(あるいは「踊り場」)に入っており、夏場に底に到達、緩やかに反転する。
  2. 3月から下落傾向をたどっている平均株価は、まもなく6月ごろに下げ止まり、横ばいから上昇傾向に移る。

    (前回3月と基本判断は変えていない)

足元の景気−すでに下り坂
  景気は、足元でどうなっているだろうか。
  現状、景気のレベルが高いことは間違いない。企業の収益も好調、求人も増えている。しかし、特に株価など金融指標との関連で景気を見る場合、重要なのは変化の「方向」である。短期的な景気変動はすでに「下り坂」であるとみたい。
  景気の局面を判断するのに使われる指標に、景気動向指数(DI)がある。景気と関連が強い11の指標を集め、そのうち改善しているものの比率を示した総合的指標であり、過半数が改善していれば景気は上昇していると見る。政府(内閣府)が毎月作成している。このDIは昨年12月まで50%を上回っていたが、1月、2月と50%を割った。これだけで基調の変化かどうか断定はできないが、景気が下方に屈折した可能性が濃厚だ。
  数ある景気指標のうち単一で最も景気を素直に反映するのは、国内全体の製造業の生産量を示す鉱工業生産指数(経済産業省作成)だが、この伸び率(前年同月比)は昨年10月の7.5%増がピークで今年2月は3.1%増、3月は1.6%増まで鈍化している。景気の勢いが弱まっていることは間違いない。
  これは、需要の伸びが鈍化してきたことが主要因だ。従来から企業部門に比して伸び悩んでいた家計の消費はさらに停滞しつつある。代表的な消費指標である新車販売台数(軽を除く)は従来から減少傾向が続き、今年4月は前年同月比8.6%の減少と、大幅マイナスを続け、百貨店やスーパーの売上高も低迷している。
  また、大幅に増加してきた企業の設備投資も頭打ちになってきた。設備投資の先行指標とされる機械受注(船舶・電力を除く民需)も、昨年後半から急ブレーキがかかっている。
  今までは内需の伸び悩みを、輸出の増加が補う形で、景気が維持されてきた。しかし、これまで景気を牽引してきた輸出にも頭打ちの兆しが出ている。輸出を物量ベースでとらえた輸出数量指数は、昨年8月までは前年同月比2桁で増加していたが、9月以降は1桁の伸びに鈍化、2月はついにマイナスに落ち込んだ。
今後の展望−今年夏には再び上昇か
  以上のように、年明け後変調をきたしている景気は今後どのように推移するだろうか。
短期的には足元で変調の兆しがあっても、現状景気の先行きには楽観論が大勢である。政府も景気は拡大しているとの判断を変えていない。海外経済が堅調で、企業の収益も鈍化傾向ながらなお好調であることが、景気観の形成に一番影響している。
しかし、筆者は景気はすでに軽い後退局面に入っており、今年夏場までは下り坂が続くとみる。家計需要の冷え込み、企業の設備投資の頭打ちという状況は、当面継続するとみられることによる。筆者は、銀行による信用供与(貸し出しなど)を重視した独自の予測法を開発しており、3月までの統計を用いて試算したところによると景気は少なくとも今年の夏(8〜9月)ごろまでは緩やかに落ち込んでいく公算が大きい。
夏以降は、マネーサプライ要因が変化し、景気は再び反転、上昇する可能性が大きい。その場合は、非常に短期の景気後退にとどまり、あるいはこれまでと同様、単なる「踊り場」と認定されることになるかもしれない。
ただ、現段階で入手可能な材料から判断して、夏場以降景気が上昇に向かっても、そのテンポは非常に緩やかになるとみられる。

今後の株価−年央に底固めか
以上のように実体景気が推移すると、株価はどうなるだろうか。
株価は昨年半ばから上昇傾向をたどり、日経平均株価でみて、今年2月には昨年4月の高値(1万7,563円)を超え、1万8,000円台を記録した。ところが、2月末、中国上海市場の下げをきっかけに下げに転じ、5月初旬で1万7,000円台前半で膠着状態にある。
株価は通常、実体景気に対して先行しながら連動するパターンをとる。2月までの株価の上昇は実体景気減速と矛盾する動きとなっていたが、これは2005年後半から2006年春までの急騰を受けた、主に外国人投資家の投資行動を反映した一種の季節パターンであった可能性が高いとみている(株価の前年同月比変化率は鈍化傾向にある)。
3月からの下げで株価とマクロ景気との関係は旧来のパターンに戻り、平均株価は景気後退をリードする形で低下している。もうしばらく、年半ば(6月ごろ)まで低下、その後底を固め、反転上昇に向かうのではないか。
(以上は、筆者の個人的見解です。また経済には必ず不確定要素が伴い、予測の部分は、当然のことながら100%保証できるものではありません。投資は各自の判断でお願いいたします)。

金子 豊治郎 
1950年 埼玉県生まれ
74年 一橋大学経済学部卒業、日本経済新聞社入社。
91年 日本経済研究センター出向、短期予測チーム、中期予測チーム主査
2000年より2006年8月まで 同主任研究員。
現在 東上沿線新聞代表
2001年より2005年東京工業大学客員教授(経済予測論)
2004年より明星大学非常勤講師(景気変動論)を兼務。

著書
 『揺るぎなき日本経済』(共著、日本経済新聞社、92年)
 『日本経済フエアプレー宣言』(共著、日本経済新聞社、93年)
 『日本経済・穏やかなる復活』(日本経済新聞社、94年)
 『社会保障改革の経済学』(共著、東洋経済新報社、03年)
 『新景気変動論』(大学教育出版、05年)など。

「東上沿線物語」(東上沿線新聞発行) http://www.tojoshinbun.com/
景気・株価予測の詳細 http://homepage3.nifty.com/yosoku/

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