[Vol.12]
前立腺肥大症
製薬会社元研究所長 亀井 敏夫さん
前立腺肥大症は、高齢男性で見られる最も普通の障害の一つだと思います。公衆トイレで、順番を待つ場合、並んでいる人の年齢を見て、できるだけ中年の人の後ろに並んだほうが良いと言われたことがあります。
若い人は、膀胱の伸縮性が良いので大量の尿を貯めることができるので、時間がかかり、高齢者は、前立腺肥大で尿の出が悪いため、時間がかかる。
中年男性は膀胱の伸縮性が悪くなり始め、前立腺肥大も未だ起こっていないので、排尿時間が一番短いのだそうです。確かに、経験的にそのような感じがします。
このように、前立腺肥大症は高齢の男性に特徴的な病気です。
前立腺は、膀胱のすぐ下にあり、内部を尿道が通っています。前立腺が年齢とともに肥大することにより、尿道が圧迫されて排尿障害が生じるのが前立腺肥大症です。40または50代で症状が出始め60歳を過ぎると、半数以上の人が夜間頻尿と放尿力低下を訴え、80歳までには80%の人が前立腺肥大症になるそうです。
前立腺に関係する症状を点数化し、前立腺肥大症の重症度を確認する「I-PPS(国際前立腺症状スコア)」という質問表が診断の際に使われており、一般に7点以下が軽症、20点以上が重症とされています。何となく気になっている人は、インターネットを調べると直ぐにチェック表が出てきますので一度チェックさされたらいかがでしょうか。
薬物療法は、 機能的閉塞に対するα1−ブロッカー 、機械的閉塞に対する抗アンドロゲン剤
、生薬・漢方薬があります。 また、最近飲む男性型脱毛症薬として、爆笑問題のコンビが宣伝している薬も、もともとは前立腺肥大症の薬です。
手術は、経尿道的前立腺切除術、レーザー治療、尿道バルーン拡張尿道ステント挿入法など、比較的容易に実施できる手術法が開発されており、薬物療法が有効でない場合に用いられます。
昔、前立腺治療薬の開発に関わった時に、泌尿器の先生に、相談に行く機会がありました。その時、日本では前立腺手術の値段が安く、一度手術すれば長い間有効であるため、日本では前立腺治療は、医療経済学の問題から、薬より手術のほうが良いのではないですかと言われた記憶があります。
前立腺肥大症の症状が重いようであれば、手術をしたほうが良いようです。
予防には、排尿を我慢しない、適度な運動をする等とされています。適度な運動は全ての成人病の予防に良いようですね。
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