[Vol.8]
「骨粗鬆症」
製薬会社元研究所長 亀井 敏夫さん
[骨粗鬆症とは]
骨粗鬆症の単語の中にある鬆はあまり見かけない漢字だと思いますが、広辞苑で調べると、大根・牛蒡などの心に多くの細かい孔を生じた部分となっています。つまり、骨粗鬆症は骨に細かい孔ができた状態という意味になります。
定義では、骨形成速度よりも骨吸収速度が高いことにより、骨に小さな孔が多発する症状を骨粗鬆症といいます。最近はあまり見かけなくなりましたが、昔は背中や腰が曲がった高齢の方をよく見かけました。このような人が骨粗鬆症の患者さんです。骨粗鬆症は、背中が曲がるような骨の変形、骨性の痛み、骨折の原因になります。
[女性に骨粗鬆症が多いのは何故?]
高齢者は骨折すると、寝たきりになることが多く、生活の質が著しく低下します。介護が必要となると、社会経済的問題にもなります。患者の80%は女性であり、日本では1000万人、アメリカでは3000万人の患者さんがいるといわれています。女性では、閉経期を過ぎると女性ホルモンの一種エストロゲンの産出量が急速に低下します。エストロゲンは骨形成速度を高める作用があるため、閉経により骨粗鬆症になりやすいと言われています。女性は男性に比べてもともと骨量が少ないため、骨形成・吸収のバランスが崩れると、症状が表面化しやすく、このため骨粗鬆症は女性に多いわけです。運動の習慣がなく、やせた体型、低い身長は危険因子の一つです。
[原因と治療法]
骨形成に欠かせないカルシウムとビタミンDが不足した食事、喫煙とアルコール摂取は骨粗鬆症のリスク因子になります。これは発症する前の運動、食物の内容と生活習慣が重要であることを示しています。骨粗鬆症は女性ホルモン、活性ビタミンD3の投与や、破骨細胞の活動を抑制するビスフォスフォネート(アレンドロネート、リセドロネート)の投与により治療します。治療により骨量は増加し、骨折のリスクはある程度低下しますが、やはり若いころからの適度な運動が骨量を増加させ、骨粗鬆症の防止に役立つと思います。規則正しい生活、運動は骨粗鬆症だけでなく、多くの生活習慣病の予防にも役立ちます。骨粗鬆症は女性の病気と思われがちですが、男性にも骨粗鬆症は生じますので、男性も気をつける必要があります。
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