[Vol.7]
「歯が再生する?再生医学」
製薬会社元研究所長 亀井 敏夫さん
最近、マウスの胎児から採取した細胞を体外で培養した後に、マウスに移植して血管や神経のある歯を丸ごと作り出すことに、東京理科大基礎工学部の辻孝・助教授(再生医工学)らの研究グループが初めて成功したということが報道され、虫歯の治療の道ができたと感じた方も多いのではないでしょうか。この技術が人で実用化されれば、虫歯の治療そのものが変わると思われます。
再生医学は、ウィキペディア(インターネット上の辞典)によれば、人体の組織で、胎児期にしか形成されず、その組織が欠損した場合(たとえば四肢切断など)、再度生えてくることのない組織の機能回復の方法を研究する新しい医学の分野であるとされています。すなわち、クローン動物作製、臓器培養、多能性幹細胞(ES細胞)の利用し、自己組織誘導を誘導するものです。多分、この説明では解りにくいと思いますが、学校の生物の時間で習ったプラナリアを思い出してください。1匹のプラナリアは半分に切ると、2匹のプラナリアに再生します。再生医学の原理も、基本的にはプラナリアが2匹になるのと同じ原理です。このため、今でも再生医学の基本原理の解析のためプラナリアが使用されています。
現在、再生医療の分野では、胚性幹細胞(ES細胞)から、各種の臓器の細胞を作ることには成功していますが、臓器そのものを作製するまでには至っていません。しかし、現在多くの臨床試験が行なわれており、例えば1型糖尿病(インシュリンを作ることができないため生じる糖尿病)の患者さんにランゲルハンス氏島β細胞を移植し、血糖値の上昇に従い、インシュリンを分泌させることに成功しています。
また、皮膚の自己移植は実用化の段階まできており、火傷などで皮膚の移植が必要な場合には、自分の皮膚を増殖させ、移植することが行われています。
また、心筋梗塞の患者さんに、幹細胞を移植し、心筋細胞の再生も行われ、ある程度の機能の回復も得られています。各種の臓器を作製することは現時点ではできていませんが、現在適切な環境を作るためマトリックスの研究、各種細胞の研究が進んでおり、今後適切な環境を提供すること等により臓器そのものの再生も可能になっていくと思います。
この技術が進歩すると、悪くなった臓器組織を取替え、だんだんサイボーグ人間に近くなるような気もしますがいかがでしょう。
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