俊寛を演じる梅之助さんは78歳、俊寛を演じるのは今回が最後かもしれないという貴重な舞台でした。
俊寛と言えば梅之助さんと言うほどの当たり役、約、半世紀にわたって演じ続けてきた役です。
しかしながら舞台での激しい立ち回り、長いセリフなどを考えると大変な体力を要する舞台だったようです。
幕が上がると、ザザザッーという波の音に、太棹の三味線の音が切なく響き鬼界ケ島の荒涼とした景色と、罪人として流された俊寛の激しい哀しみが広がります。
浄瑠璃の語り口は、慣れない私たちにはわかり辛いのですが、まるで叙情詩のように、大きなうねりの波となって、心に流れこんできます。
赦免状に自分の名前がないと知った時の、俊寛の驚き、恨み、怒り、嘆き。そして、一転して自分も帰れると知った時の狂気に似た喜び。
次には、最愛の妻、東屋がすでにこの世にいないと知った時の大きな空しさ。自分を待つ人がいないと都に帰ってもしかたないと、自分の代わりに海女、千鳥を舟に乗せる俊寛の父親のような優しさ。
しかしながら、やはり俊寛も生身の人、去っていく舟を追いかける俊寛の身もだえするような悲しさ・・・浜辺から海中へ、そして崖に駆けのぼり声を限りに叫びます。
まさに生きながらして、世の中から葬り去られる絶望の淵です。
浄瑠璃にのって、刻々と変わっていく俊寛の心が表現されます。鬼気迫る演技とはこのことでしょうか・・
二度と見ることの出来ない梅之助さんの俊寛でした。
観てよかった・・・・今回企画してよかったとつくづく感じました。
そのあと、「子はかすがい」で子役の絶妙な演技に拍手。
夫の遊びのため、一度は別れた夫婦が息子猪之助のお陰でまた元の鞘に戻ると言うテンポの良い芝居です。俊寛のあと、重くなった気持ちを軽く、ほのぼのと和らげてくれます。
役者さんとのお茶会は、なんと本日の主役クラスのお二人嵐広也さんと山崎辰三郎さんが参加してくださいました。日頃聞けない舞台裏の話なども含めて多いに盛り上がった1時間でした。
次回は是非皆様もどうぞ。
|