生き物はみんな食物連鎖でつながっている
−我々の食料も、食物連鎖の中にある。
生態系は、「生産者」「消費者」「分解者」で成り立っていると、前回、いいました。
それは、いいかえれば、みんなの生き物が「食う、食われる」の食物連鎖の関係にあるということです。残酷なようにも聞こえますが、しかし、それが、地球が健全な生態系を維持していく上でのしくみなのです。その食物連鎖が太く濃密であるほど、生態系をめぐる物質やエネルギーの流れが豊かだからです。
これも前回もいいましたが、その場合、食物連鎖のスタートは、「生産者」の植物です。
「消費者」の動物は、植物がつくった有機物を食べることで生きています。といってもすべての動物が、直接、植物を食べているわけではありません。まず、昆虫の幼虫や、ウサギ、ウシなどは植物だけを食べます(食植動物という)。こうした食植動物を「一次消費者」といいます。
その動物を食べる小動物がいます。虫を捕食する鳥、モグラ、一部のネズミなど。彼らを「二次消費者」と呼び、それらの動物を食べるオオカミ、猛禽類などの「三次消費者」、さらにその上があれば「四次・・・」「n次・・・」とつづきます。
この「食物連鎖」は目、に見えない土の中などでも見られます。落ち葉や枯れ木を食べるミミズや、ヤスデなどの「一次消費者」、それらを食べるクモやケラなどの「二次消費者」、さらにそれらを食べるモグラなどの「三次消費者」・・・といった関係です。
生きた植物を食べることからはじまる連鎖を「生食連鎖」、枯死した植物からのそれを「腐食連鎖」といいます。いずれにしても、出発点は植物です。
そして、海の世界では、植物プランクトンや海藻が「生産者」、それらを食べる動物プランクトンや魚介類が「一次消費者」、さらにそれらを食べる魚などが「二次消費者」・・・となります。
実際には、この「食う、食われる」のつながりは、鎖(くさり)状でつながっているというよりは、網の目のように複雑に入りこんでいるため、「食物連鎖」というよりも「食物網」と呼ぶ方がふさわしいといいます。
人間はどうでしょうか。人間は、穀物、野菜や果物などの植物も食べ、二次消費者、三次消費者・・・の肉も食べ、ときわめて雑食性が強い貪欲な生き物です。それだけではありません。ほとんどの動物は、陸なら陸、海なら海と棲み分け、餌も陸のものなら陸のものだけ、海のものなら海のものだけ、と食べ分けています。ところがヒトは、陸海と分け隔てなく食料としています。
栽培、牧畜、採取、漁労といった陸海あわせての食料獲得の高度な技術と、これも高度な料理法で、食物網の中のあらゆる網の目を食料としています。
身の回りはふつう加工食品ばかりに囲まれているため、あまり実感はありませんが、私たちの食料は、もとをただせば100%他の植動物の生き物です。また、実際の食料は、麦や米といった栽培穀物、動物タンパクは、牛やブタ、あるいは養殖漁業など自然生態系とは無関係のようにも見えますが、それらも大きく見れば、穀物であれば養分豊かな土(次回に触れますが、これも生き物の産物)を、動物タンパクであれば飼料を必要とし、自然生態系の食物連鎖(物質とエネルギーの流れ)の中に組み込まれていることに違いはありません。このように、私たち人間が食べる食料も、大きく見ればこの食物連鎖(網)の中にあるのです。地球上に濃密な食物連鎖があればあるほど、つまり生態系が豊かであればあるほど、人類の食料も安泰であることがわかるでしょう。 |