私たちが生きていけるのは、植物のおかげ、太陽のおかげ
皆さんは、「生産者」「消費者」「分解者」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。小難しい経済学の話かと思われるかもしれませんが、そうではなく生態系の話です。
ぎりぎり団塊の世代の方は高校の生物科で習ったかもしれません。というのは、これから問題にする「生態系」は、1966年(昭和41年)以降、高校の生物の教科書にもとり入れられはじめたからです。
習ったかもどうかもわからない? 忘れた? 学校で習ったものなんてそんなものかもしれませんが、しかし、それは大変重要な、しかもよく知ってみれば驚くべき話なのです。今あらためて知っても損はありません。
私は、それより以前に高校を卒業していましたから(1963年高校卒業)、習いませんでした。その私が、森林インストラクターを目指したきっかけの一つは、この自然生態系の驚くべきしくみをその後、知ったことにあったといっても過言ではありません。
手っとり早くいえば、「生態系」とは、無限の恵みである太陽エネルギーを受けてそれを循環させながら、地球が「生きている」システムなのです。
その「生きている地球」のスタートとなっているのが、植物。それは、このようなことなのです。
生きとし生きるものが生きていくには、エネルギーが必要です。運動、個体維持、繁殖など生命活動すべてにエネルギーを必要とするからです。そのエネルギーを、生物は、炭水化物、蛋白質等の有機物から得ています。また生物みんな身体をつくる材料としても蛋白質など有機物を使います。
まず銘記すべきは、生物が生きていくうえで欠かせないこの有機物を無機物から合成できるのは、緑の色(葉緑素)をもった植物だけだということです。植物が光合成で太陽エネルギーを使って水と二酸化炭素を原料にデンプンなど有機物のもとをつくる、これはほとんどの人が知っているでしょう。この光合成という事実の、生態系の上で持つ意味は大きいのです。植物がいないと、生きている地球そのものがまずは起動しません。
だから唯一、有機物を合成できるこの植物を、生態系のなかでは大きく「生産者」と呼びます。
続いて「消費者」ですが、これは動物すべてがそれにあたります。動物は、植物がつくった有機物を消費して(食べて)生きている。そういえば反論する人が出てくるかもしれません。
「私たちは、穀物や野菜だけでなく、牛肉も食べている!」
しかし、それは反論になっていません。牛肉も、もとはといえば、牛が草を食べて大きくなっているのです。もちろん狼や鷹のように他の動物を食べるものもいますが、それも元をただせば、植物を食べた動物をとおして、もともと植物がつくったものを食べているだけなのです。すべては、植物がつくり出した有機物がめぐっているだけです。
最後の「分解者」。生産者である植物も、消費者である動物も生物ですから必ず死があります。また動物は、他の生物を食べて消化した残余物を排泄します。こうした死体や排泄物が「分解」されなければ、どうなるでしょうか。地球上いたるところ死体や排泄物のゴミでいっぱいになります。また植物や動物が取り込んだ物質(無機物)の循環がそこでとまります。
そう、「分解者」は、この死体や排泄物をきれいに掃除してくれています。そしてそれだけでなく、もっと大切な役割は、有機物を無機物に返していってくれているということです。菌類などがこの分解者にあたりますが、このように循環を回してくれることで、また次の生産者がそれを使って生産できることになります。
こうして地球生態系は、生産者→消費者→分解者、そしてふたたび生産者というそれぞれの役割をもったもの生きものたちの働きでまわっている巨大なサイクルなのです。
この流れを、またエネルギーの循環ともいいます。植物が光合成で有機物をつくるということは、つまりは太陽エネルギーを有機物の中に取り込むということです。すべての生きものは、その太陽エネルギーの缶詰の有機物を食料として摂取し、分解する(燃やす)ことによって閉じ込められた太陽エネルギーを生きるエネルギーとしてとり出しています。
このように生産者である植物は、「生きている地球」を起動するという意味で、いちばん偉い! 私たちが生きていけるのは、まずは植物のおかげ、太陽のおかげです。植物に感謝、その植物に光合成を行なわせる太陽エネルギーに感謝です。
ちなみに、この、二酸化炭素と水という最もありふれた無機物から有機物をつくりだす光合成の働きは、いくら科学技術が進んだとしても決して人間が真似のできない奇跡のわざ業といいます。
次回は、さらに驚くべき「持ちつ持たれつ」の生態系の絶妙のバランスについて触れていきます。そして、その後は、食料、水、空気などの金の卵を産み出すことにこの生態系がどんなふうに関係しているかについて。 |