彩の国を彩る花と緑 13 さいたま市・田島ヶ原さくらそう公園
「彩の国を彩る花と緑」といえば、やはり、さいたま市・田島ヶ原さくらそう公園のサクラソウを忘れるわけにはいきません。
全国最大の自生サクラソウの保存地域。大正時代から「国指定天然記念物」、昭和27年からは「特別天然記念物」になっています。かっては、荒川沿いの河川敷に多く見られたサクラソウも、もう残っているのはここだけです。
4月始めから咲き始め、4月いっぱいくらい可憐な花が見られます。
今年は、暖冬のせいか、もう3月末に、下のような群落が見られました。
サクラソウだけでなく、ノウルシ、ジロボウエンゴサク、ヒキノカサ、ムラサキケマンなども同時に見られます。
サクラソウと満開の桜も一度に見られました。桜と同時に咲くから「サクラソウ」?、花が桜に似ているから「サクラソウ」?

サクラソウ:さくらそう科
園芸種では、プリムラと呼ばれる一大人気種。日本でも江戸時代から次々と園芸品種がつくり出され、今では、300種を超えるといいます。その日本の品種が、ヨーロッパでも「ゲイシャガール」「蝶々夫人」などの名前で愛されているとか。
このように品種が多くつくられるのは、自然種でも花の形、色などに変異が多いからだということです。つまり人間でいえば、それぞれ個性を持った個体がおおいということです。それぞれの個性を伸ばして園芸種がつくられたのです。さくらそう公園の自然種でも、同じサクラソウといっても、色の濃淡、花の形など個性的な花々が実際に見られます。
花の中心の「目」にもぱっちりとしたのや、眠そうなものも。
しかし、この田島ヶ原自生地を特別天然記念物に指定して、いくら保存をしようとしても、このサクラソウという「種」の保存は長期的には難しいといいます。それは、花粉をちゃんと運んでくれるハチ類がいないからです。多年草ですから急に消えてなくなるわけではありませんが、花粉を運んでもらって健全な受粉が出来ていないから、クローンが増えたり、自家受粉によって、遺伝子がだんだん固定化して環境変化への抵抗力がなくなってきているからです。この貴重なサクラソウを守るためには、この自生地を守るだけでなく、回りの自然生態系も守り、ハチ類なども増えてくる環境を取り戻すことが必要なのです。
そのほか、この公園で見られる珍しい花たち。
ジロボウエンゴサク:けし科
漢字で書けば、「次郎坊延胡索」、面白い名前ですが、「次郎坊」とは、スミレの「太郎坊」に対してつけられたとか。花が、後ろに「距」という出っ張った筒をもっているのでスミレと似ています。
また、「延胡索」とは、漢方薬の名前から来ているとか。
わずか、草丈10cmそこそこの可愛さですからで、よく注意しないと見落とすくらいです。
ヒキノカサ:きんぽうげ科
これも、聞きなれない名前の珍しい花。漢字で書くと、「蟇の傘」、あるいは「蛙の傘」、つまりはヒキガエルの傘、その小ささからつけられたのでしょう。
やはり草丈10cmほどの可憐な花です。
ノウルシ:とうだいぐさ科
漢字で書けば、「野漆」。傷をつけると乳液が出て、ウルシのようにかぶれることから名前がつきました。小さい花序の下に黄色い苞葉があり、遠目にはそれが花のように見える。
群落を形成し、一面の黄色い畑のようになります。
この田島ヶ原に見られる花たちは、いずれも、湿地のオギやヨシなどが上を覆うまでの春先につかのまに花を咲かせるはかない植物です。環境破壊で絶滅危惧種になっています。大切に守られなければなりません。
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