彩の国を彩る花と緑 12 スプリング・エフェメラル(春の妖精)
アマナ:ゆり科 この冬は、本当におかしかったですね。いちばん寒い時期のはずの一月上旬に、なんと20℃近い日もありました。まごうかたなく地球温暖化でしょうか。
アマナは、例年は、荒川河川敷の秋ヶ瀬公園で3月下旬ころに見られるものですが、暖冬の今年は、3月上旬の今、もう見られるかもしれません。
このアマナも、「春の妖精」「春植物」と呼ばれるスプリング・エフェメラルのひとつ。
エフェメラル(ephemeral)とは、「はかない」。だから、スプリング・エフェメラルを直訳すれば、「春のはかない命」。
まだ冬枯れの雑木林の、陽光のさす林床に、つかのまに葉を出し、花をつけ、種子を稔らせ、やがて上木の茂るころには、あと形もなく消えて、一年の大半を地中で眠って暮らす。
ゆり科の特徴で、花被は3の倍数で6枚。といっても実際の花弁は3枚で、あとの3枚は萼(がく)が変化したもの。鱗茎が甘いためこの名がつけられたといいます。
このアマナは、彩の国近辺のスプリング・エフェメラルのなかでも、早く花をひらく部類のひとつ。
カタクリ:ゆり科
ついで咲く春の妖精が、このカタクリや、つぎのフデリンドウ。
カタクリも、やはり、ゆり科ですから花被は6弁ですが、ピンと反り返るのが特徴です。この可憐さが、カタクリの人気が高い理由のひとつでしょう。タネが発芽して、だんだんと鱗茎を地中深く(数十センチ)もぐらせ、花を咲かせるまでに数年かかります。
カタクリは片栗。昔は、この鱗茎から片栗粉をとりました。しかし、数十センチの深さの小さな鱗茎を掘り出すのも大変でした。
確かなところでは、彩の国では、3月末か4月はじめごろ、東松山森林公園に行けば見られます。
もう万葉集にも詠われ、そのころは「かたかご」と呼ばれていたようです。
もののふの 八十少女(やそおとめ)らが くみまがふ 寺井の上の
堅香子(かたかご)の花
大伴家持 万葉集
フデリンドウ:りんどう科
写真では解らないかもしれませんが、草丈10センチほど、花の直径は、なんと1〜2センチ。しかし花の形は、リンドウそのもの。私は、初めて見たとき、その可愛さに感動しました。
昼間、陽光さんさんの時は、花を開きますが、曇り空や夜には閉じます。
4月末から、5月初めころ山野で比較的どこでも見られます。昨年、私は、嵐山渓谷や平林寺の雑木林でも見かけました。
地には星 筆竜胆の 小紫 水沢周「山小屋物語」(講談社)
先にもいうように、これらは、いずれもスプリング・エフェメラル(春の妖精)といわれる、はかない命。夏ころには、もう草自体、地上から姿を消します。
そのようなはかなさですから、はなはだ微妙な生育環境を要求します。決して掘って帰って育てようなどと不心得を起こさないように。
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