| 出羽三山とは羽黒山、月山、湯殿山の総称で、最高峰は標高1980mの月山である。また、湯野浜温泉は白砂の美しい庄内湾に面した古い歴史をもつ温泉である。
山形自動車道を月山ICで降り、国道112号線をしばらく走ると正面に月山のゆったりとした山容が見えてきた。緑色の山肌のところどころにまだ雪が残っている。登山口の姥沢からスキーリフトに乗れば、そこはもう標高1510mの森林限界点で暑さとは無縁の別世界である。黄色いニッコウキスゲが爽やかな高原の風に揺れていた。

登山道に入るとピンク色をした可憐なイワカガミ、白い小さな花が一面に広がるチングルマの群落、ヨツバシオガマも鮮やかな紅色の花を咲かせていた。雪渓を小学生の一団がロープに伝わり、賑やかに下ってくる。山頂に近づくにつれ霧が深くなった。やがて尾根の傾斜が弱まり頂上の一角につく。月山神社の社殿と頂上小屋が霧の中からぼんやりと見えてきた。
とりあえずザックを小屋に預け一等三角点のある山頂に登る。時々霧が晴れ雪の残る朝日連峰が見えた。小屋に戻ると一段と霧が深くなり風も強まってきた。それぞれ割り当てられた部屋に入り、とりあえず月山登頂記念の乾杯。冷たい缶ビールがノドを流れる至福のひとときである。
昨夜は何度か屋根をたたく雨音を聞いたが、朝起きて外を見ると相変わらず霧も濃く風も強い。雨具に身を固め小屋を出発する。月山神社に登山の無事を祈願して視界の悪い尾根道を下っていく。ときどき雨が強く吹きつけるが、緩やかな登山道の両脇にはニッコウキスゲ、ハクサンフウロ、ミヤマリンドウ、コバイケイソウなどが色とりどりに咲き乱れていた。霧の中から白装束の出羽三山講の人たちが何組も登ってきた。地域ごとの講なのか若い人たちも多い。

9合目の仏生池小屋には、金剛杖に記念の焼印を貰う人たちが小屋の外まで並んでいた。気温は15度、じっとしていると体が冷えてくる。白いミツガシワの咲く弥陀ヶ原を過ぎ8合目の駐車場に到着、待機していたバスに乗り込み羽黒山へむかう。月山高原ラインを5合目辺りまで下ると、霧も晴れ強い夏の光が射してきた。

羽黒山の山頂に建つ三神合祭殿は、月山、羽黒山、湯殿山の三神を祀る豪壮な建物である。境内には松尾芭蕉の旅姿の像と、出羽三山を詠んだ句碑が建てられていた。随神門までバスで下り、国宝に指定された五重塔を見学に行く。千年の歴史を刻む五重塔は杉並木の中で、ひっそりとたたずんでいた。

城下町の面影を残す鶴岡の市街からトンネルを抜けると、目の前に日本海がひろがり磯の香りが流れ込んできた。ホテルにつくと早々と水着に着替え海に飛び込む。湘南の海と違い人影もまばらで、浮き輪に乗った子供たちが楽しそうに波と戯れていた。
料理長の振る大漁旗とバイトの若い仲居さんたちに見送られてホテルを出発、庄内空港ICから山形自動車道を湯殿山ICに向かう。ブナの原生林を抜けると朱色の大鳥居が鎮座する駐車場についた。湯殿山神社には社殿がなく、舗装路を梵字川の流れに沿って30分ほど登ったところに奥宮がある。神主さんからお祓いをうけ裸足になって奥宮に入る。ご神体は熱湯の湧き出る茶褐色の大岩で、その横を岩の上まで登ることができる。

参拝を済ませふたたび月山ICから山形自動車道に乗り、寒河江のサービスエリアで遅めのランチをとった。安達太良SAを過ぎるころ、突然雷雨に見舞わる。雨があがると美しい半円を描いた大きな虹が空に浮かんだ。

「山ガール」「山ボーイ」達の安らかな寝息を積んで、バスは東北道をひたすら走り、三芳町に帰りついた。
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