| 物見山は300mにも満たない低い山だが、山麓には鎌北湖や宿谷の滝、五常の滝などの観光スポットもあり、これらと組み合わせて変化に富んだハイキングを楽しむことができる。今回は宿谷の滝から物見山の山頂を目指した。参加者は寒さにも負けない元気印の40名。最年長者は今年傘寿を迎えるNさんである。
越生線の東毛呂駅からバスに乗り、毛呂山総合公園入り口で下車する。農家の庭先にはロウバイがほのかな香りを漂わせていた。
公園の駐車場でストレッチ、寒さのせいか身体の動きが固い。緩やかな車道を歩いていくと左手の高みに山根六角塔婆がある。室町時代の貞和2年(1346年)の建立と伝えられ、埼玉県の文化財に指定されている。


鎌北湖への車道から分かれ宿谷の滝にむかう。宿谷の滝は落差12m、苔むした岩壁を一条の白い帯となって流れ落ちている。滝上は公園のような広場で、休憩舎では3人連れの親子が楽しそうにお弁当を食べていた。

細流に沿ってしばらく行くと登山道はスギ林の中につけられた急坂に変わる。足元は岩石混じりで滑りやすい。ひと汗かいた頃、日和田山からの縦走路にでた。ここまでくればもう物見山は近い。
物見山の広い山頂には何組もの登山者が休んでいた。とりあえず山頂の奥にある一等三角点石にタッチしてからランチタイム。ガスコンロに火をつけて、持参のカップラーメンに熱湯をそそぐ。家で食べるカップラーメンは侘しさを感じさせるが、山で食べるとなによりのご馳走で幸せな気分になる。



物見山から北向地蔵への道は奥武蔵自然歩道となり、よく整備されていて歩きやすい。道の両側を覆うスギ林も下枝が伐採され明るくなった。木立の間から時おり太陽が顔をのぞかせる。鎌北湖と五常の滝とを結ぶ峠に北向地蔵はある。天明6年(1786)に流行した悪疫を防ぐため、野州岩舟地蔵尊より分身として譲り受けて祀ったと真新しい案内板に記されていた。最近はデートをとりもつ縁起地蔵としても親しまれているそうだ。

のどかな土山の山上集落をぬけ林道におりる。やがて木の間から五常の滝が見えてきた。人間として守るべき徳目の「仁義礼智信」から名づけられたという。落差は宿谷の滝と同じ12m、黒い岩肌をいく筋かに分かれ流れていた。

吹く風は冷たかったが、木洩れ日の温もりに春の気配を感じた一日だった。
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