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有紀の映画日記
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バベル ★★★★☆
その昔、人間はひとつの言語を話していたという。あるとき、彼らは神に近づくために天まで届く高い塔を作ろうとする。その傲慢な態度に怒った神は、彼らの言葉を乱し、互いの言葉が聞き分けられないようにした。言葉が聞き分けられなくなった人間たちは、かくしてバラバラになった…。旧約聖書に記されたバベルの町の物語が根底にあるという。聾唖の女子高校生を演じた菊地凛子が、アカデミー助演女優賞にノミネートされて話題となった映画である。
重い。ずしりと重い。観終わって、改めて「バベル」の意味を考えさせられた。同じ言語を話しながら、私たちは、果たして相手の心の内が分かっているのだろうか。どこまで互いを理解しているのだろうか。それを鋭く自分の胸に突きつけてくる映画であった。
三人目の幼い子どもを亡くし、モロッコの旅に出たアメリカ人夫婦、リチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランジェット)。子どもを亡くしたことで二人の間には溝ができていた。その溝を埋めるための旅だった。
バスが山間の道を通り抜ける時、一発の銃弾がスーザンの肩を撃ち抜く。「すわっ、テロか」。国際問題にまで発展するのだが、どんなに待っても助けは来ない。バスは引き返し、スーザンは地元の獣医の応急処置を受ける。しかし、多量の出血を止めるのが精一杯。
彼女を撃ったのは、モロッコの山間で暮らす羊飼い・アブドゥラの息子たち。アブドゥラはその朝、友人から銃を買い、羊の世話をする息子たちに手渡したのだった。兄と銃の腕前を兄と競おうとした弟が、バスを標的にした。弟の銃弾が命中した。
アメリカのリチャードとスーザンの留守宅では、メキシコ人の乳母アメリアが、息子の結婚式に出るためメキシコに向かおうとしていた。代わりに子どもたちの面倒を見てくれるシッターが見つからず、アメリアはやむなく二人を連れてメキシコに。
遠く離れた日本では、母親を自殺で亡くし、父親・ヤスジロー(役所広司)との関係がうまくいかない聾唖の女子高生(菊地凛子)のもとに、突然刑事たちがやってくる。モロッコで使われた銃は、ヤスジロー所有のものだったというのだ。
まったく接点のないモロッコ、アメリカ、メキシコ、日本の家族を、1発の銃弾が結びつける。それぞれの家族は、再びまとまることができるのだろうか。菊地凛子扮する聾唖の女子高生が、重要な位置付けとなっている。彼女が若い刑事と対話する中で自分を見出していくところに救われる。希望がある。タイトルの「バベル」の持つ意味は深い。
菊地凛子、アメリア役の女優の好演が忘れられない。★★★★☆ |
バベル公式ホームページ
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