秩父は水が旨いし空気も澄んでいる。だから酒も旨い。
水は石灰岩で濾過される硬水。 これは蕎麦の味にも影響するらしい。
[武甲]
秩父には酒蔵がいくつかあるが、有名なのは市内中心部にある武甲酒蔵(柳田総本店)。
酒の名前も「武甲」。何年か前、若旦那に、東京で武甲を買えるか聞いたら、「西武デパートに置いたら売れすぎたので止めた。
地元で売る酒が無くなる。生産量を増やせば味が変わる。それじゃ地元の人に申し訳ないし、今の状況で飯も食えるしそんなに大儲けしなくてもいい。
地元の人には旨い酒を飲んで欲しい」との経営方針で地元販売のみで、東京で武甲を卸している店は2件だけとのこと。
これこそ顧客満足度(CS)重視の経営。人は何のために生きるか、仕事するか、会社をやるのかの原点。
だから、ここの酒は我々地元民が愛して止まない。
「武甲」は、個人的な好みをいえば、昔でいう2級酒の「武甲・辛口」で、冷やでもお燗でも良し。
値段が上がるに連れて香りが高くなる。冬から春先にしか出回らない「しぼりたて」の生酒はよっと甘めだが香り高く美味で、
もちろん冷やでやる。
[秩父錦]
秩父市内にあるもうひとつの酒蔵は、「秩父錦」で、矢尾商店というデパートが経営しているもの。
何年か前に、市内からちょっとはずれた場所に酒蔵資料館を開設し、そこで仕込みとともに展示販売している。
私は、若い頃に「秩父錦」の2級酒の「秩父錦・辛口」の熱燗が大好きだった。
秩父錦は、資料館に隣接の店で買う樽酒が旨い。それと1月に出回る数量限定の貴重な「甕口」酒が素晴らしい。
何年か前に、飲んだら病みつきで毎年買っているが、近年人気沸騰で予約が必要なぐらい。ことしは、
1月に買ってそのまま新聞紙にくるんで冷蔵庫の野菜室にずっと寝かせておいて、12月の秩父夜祭に来た客と飲んだら、
味がさらに豊潤になっていて絶品だった。来年に向けて酒屋でまた予約しておこう。
[慶長]
秩父市内から車で20〜30分ほどの吉田町にある和久井酒蔵は、山越えで群馬に抜ける街道沿いにある小さな酒蔵。
店構えは昔の建築そのままに風情あり。ここの銘柄「慶長」は知る人ぞ知る酒。
個人的には、本醸造が大好き。純米酒もあるが、本醸造のほうが値段も若干高めで、香りも高い。味にこだわる酒好きの酒という感じ。
これを飲むと他の酒が薄く感じるぐらい。2級酒の「慶長」は秩父市内の主要な酒屋にあるが、本醸造、純米酒はほとんど置いていない。
西武秩父駅の仲見世、秩父鉄道秩父駅のじばさんセンターでは本醸造等も買える。武甲と同じく、 良いものを限られた販路で売る経営方針らしい。
訪れて来た人と先月漬けたしゃくし菜を肴に地酒をちびちび味わう私の至福の正月です。