『私的世界の車窓からの旅』イタリアン・リヴィエラ
セレブの隠れ家・ポルトフィーノ

私は、テレビ朝日のミニ番組「世界の車窓から」を見るのが楽しみです。
海外の町や村、自分が一生涯訪れることはないであろう国々、自分が以前訪ねた町、これから行きたいと思っているところなど様々な風景や人々が私の旅心を刺激します。
鉄道オタクではないけれど、生まれた家が東京の私鉄の駅の真ん前、電車の音を子守唄がわりに育ちました。だから、電車の音を聞くのは大好き、駅から遠く離れたところに住む勇気はありません。
海外旅行に行く時は、なるべく「列車の旅」が組み込まれているツアーを選びます。
これまで、スペインの「AVE」、ドーバー海峡トンネルを通る「ユーロスター」、フランスの「TGV」、アメリカの「アムトラック」など著名な鉄道にも乗りましたが、『私的世界の車窓からの旅』ベスト1は、イタリアン・リヴィエラ海岸です。
2002年秋、雑誌CREAの特集記事「イタリア、煌めきの小さな町完全ガイド」を読んだ私は、ジェノヴァの東にある「ポルトフィーノ」という町を初めて知りました。
かつては漁村だったという“目の覚めるようなブルーの小さな入り江に豪華クルーザーが浮かぶ”宝石のような風景。
世界中から有名人が訪れるという『セレブの隠れ家・ポルトフィーノ』はその時から、私の憧れの場所になりました。
ようやく、その夢が実現できたのは2004年の7月。
最近は、パッケージ・ツアーの種類も増えていると思いますが、当時、「ポルトフィーノ」はツアーを組むには日本ではマイナーな観光地でした。
インがフィレンツェ、アウトがミラノの旅にイタリアン・リヴィエラを盛り込んだ完全個人旅行を初めて自分で手配しました。
フィレンツェとミラノの間に立ち寄るイタリアン・リヴィエラへは鉄道による移動です。
ガイドブックと トーマスクックの日本語解説版「ヨーロッパ鉄道時刻表」
を見ながら旅程を組みましたが、イタリア鉄道のウエブサイトも乗り換え検索などに役立ちました。「イタリア鉄道の旅」
も参考になりました。
さて、フィレンツェとシエナなどの観光を終え、ピサ経由で「ポルトフィーノ」の入り口サンタ・マルゲリータ・リグーレまで列車の旅が始まりました。ピサ駅での乗り換え時間は13分しかないので、時刻表片手に列車の運行状況をチェックすることにしました。
朝、9時過ぎにフィレンツェを出た列車は、トスカーナの豊かな穀倉地帯を走り、幸いさしたる遅れもなく、ピサ駅に到着。次に乗る「トリノ行き」列車が発車するホームを探しましたが、どのホームの案内板にも「TORINO」の文字が見あたりません。
ようやく「UORINO」の表示がその列車であると気づきなんとか乗り継ぎに成功。この列車に乗れないと、目的地の到着時刻がかなり遅くなってしまうのでやれやれです。
やがて列車はリグーリア海とよばれるイタリアン・リヴィエラの海岸線に近いところを走るようになりました。海水浴場になっているビーチには、泳ぐ人やパラソルの中でくつろぐ人の姿が間近に見えます。「海の家」もあり日本の海水浴場と似た風景ですが、ハイシーズンでも人出は多くありません。それにしても、青緑色のなんときれいな海・・・
サンタ・マルゲリータの駅で下車した私たちは、駅からほど近いホテルにチェックインし、早速、憧れの「ポルトフィーノ」観光に出発。「ポルトフィーノ」にはここから船またはバスに乗るのですが、サンタ・マルゲリータの町も、開けた湾が白い砂浜の広い海水浴場になっており、海岸から丘の上までホテルやリゾートマンションが沢山建っています。遅い昼食をとったりしている内に最終の定期船が出てしまったので、バスに乗って「ポルトフィーノ」に向かいました。海岸線のくねくねした細い道をバスは時折クラクションを鳴らしながら走りますが、急に対向車が現れたり結構スリルがあります。

ようやく「ポルトフィーノ」に到着したのは、午後4時半近く、しかし、この季節は遅くまで明るいので歩き回るのに支障はありません。
小さな港を取り囲むかわいらしいカラフルな建物の中を散策しましたが、店舗は小さくても高級ブランドショップが立ち並び、ここがVIPたちにも愛されているリゾートであることがわかります。

汗だくになって登った急な斜面の上にあるサン・ジョルジュ城からの眺めはまさに、写真で見たとおりの“絵に描いたとしか思えない絶景”でした。ここへ到達するまでの長い道のりや苦労が吹っ飛ぶほどの美しい風景にしばらくみとれてしまいました。
サンタ・マルゲリータのホテルに宿泊し、翌日は朝から列車に乗って、世界遺産「チンクエ・テッレ」観光に向かいます。モンテ・ロッソ・アル・マーレまでのローカル列車の中で聞こえてくるのはイタリア語ばかり、日本人の姿はみえません。それにしてもイタリア人は男性もおしゃべりな人が多いようです。
リアス式海岸のように入り組んだ海岸線なので、車窓には、まぶしい陽光に青く輝くリグーリア海が何度も迫ってきます。
(中略)
翌日、私たちは再び「ポルトフィーノ」を訪れ、リヴィエラの「宝石」を心ゆくまで眺め、「ポルトフィーノ」のもう一つの顔である、ひなびた小さな漁村らしい風情を楽しみました。
(後略)